変わるんですよ

あのね、あなたとこうして話をしていて、それで気がついたんだけど、僕もずいぶん変化しているんですよ。ついこのあいだサイトウ・キネンとニューヨークに行って、カーネギーホールでブラームスの一番と、ベルリオーズの『幻想交響曲』と、それからブリテンの「戦争レクイエム」をやったでしょう。あれでね、また僕は大きく変わったんです。･･･ 僕くらいの歳になっても、やはり変わるんです。それもね、実際の経験を通して変わっていきます。それがひょっとしたら指揮者という職業の一つの特徴かもしれないね。つなり、現場で変化を遂げていく。僕らはね、オーケストラに実際に音をだしてもらわないと話にならないんです。僕が楽譜を読んで、頭の中に音楽をひとつこしらえて、それをオーケストラの人たちと一緒に実際の音にしていくわけだけど、そこで生じるものがいろいろとあります。･･･そういうあれこれの体験を通して、僕らは変わっていきます。 ---小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫) 先日の宣教セミナーで紹介させていただいた小澤征爾の言葉です。小澤さんの柔軟な心に教えられました。教会というオーケストラも日々変わって行かねばなりません。しなやかな心と信仰とを持って、より美しく福音の調べを奏でるために。