土の器

宮本牧師のブログ

十字架の重さ

ドイツの最南部、オーストリアとの国境に連なるドイツアルプスの麓で、四方を山々に囲まれたオーバーアマガウ村は、人口5000人ほどの小さい村ですが、1634年の初演後、1680年からは10年ごとに上演されいる「キリストの受難劇」で有名になった村です。来年が42回目の上演の年になっていますが、休憩をはさんで6時間の舞台は、5月から10月まで、およそ100回演じられます。前回は全世界から50万人を越える人が、この受難劇を見るためにオーバーアマガウを訪れたそうです。 受難劇の始まりは、1633年に遡ります。戦争に荒廃した村にペストが流行し、多くの村人の命が奪われていきました。万策尽きた村人は、神に嘆願し、村を救ってくださったら、10年ごとに受難劇をささげると約束しました。すると、その時から、ペストによる死者はなくなり、ペストにかかっていた病人も死を免れたと村の記録には記されているそうです。村人は神との約束を守り、翌年1634年から村をあげての受難劇をささげるようになったということです。 アメリカのビジネスマンが、オーバーアマガウ舞台裏に入れてもらったそうです。そして劇でキリストが担ぐ十字架を自分も担ごうとしたのですが、そのあまりの重さに驚きました。キリストを演じた村人は彼に言いました。「もし私がキリストの十字架のほんとうの重さを知らなければ、私は決してキリストを演じることはできません」と。 キリストが実際に担いだのは十字架の横木だけであったと考えられていますが、その重さは50キロを越えたそうです。イエス・キリストが背負われた十字架、その重さが私たちにわかるでしょうか。礼拝で、ヨハネによる福音書を学びはじめて5年になりますが、いよいよ十字架の場面になります。イエスが背負われた十字架の重さが、もっとリアルに知ることができればと願っています。もし私たちがキリストの十字架のほんとうの重さを知らなければ、私たちは決してキリストを演じることができないからです。 今週も大切なことを大切に。