土の器

宮本牧師のブログ

捜し出してください

19世紀に活躍した大伝道者ムーディと共に用いられたのは福音歌手サンキーでした。「ムーディは語り、サンキーは歌う」と言われた名コンビです。ある日、エディンバラの集会でムーティがルカ福音書15章からメッセージを語りました。説教を終えたムーディはサンキーに「何か招きの歌をうたって欲しい」と声をかけます。とっさのことでサンキーは驚きましたが、ポケットから新聞の切り抜きを取り出し、即興で歌い始めました。 「99匹の羊は檻にあれども 戻らざりし一匹は何処に行きし 飼い主より離れて奥山に迷えり・・・。」 それはスコットランドの賛美歌作者エリザベス・クレファンが新聞に投稿していた一編の詩でした。このようにして、あの名曲「99匹の羊」は誕生したのです。サンキーは涙ながらに歌いました。その日、エディンバラの集会で多くの人がキリストを信じたことは言うまでもありません。 この賛美は、神の側から言えば、失われたものを見つけ出した喜びが歌われていますが、私たちの側から言えば、見いだされた喜びの歌です。 「日本人に贈る聖書物語」に、イエスがこの譬えを語られた場面がとても劇的に書かれていますが、話しが終わった時の描写がステキです。「この譬えを聞きながら、弟子のマタイは嗚咽を始めた。迷える羊の中にかつての自分の姿を見出したからである。確かに自分は危うい崖っぷちを歩いていた。羊飼いイエスが探し出してくださらなければ、今ごろは・・・。マタイの涙を見て、他の取税人たちも目を拭い始めた。」何と感動的な光景でしょう。幸いなのは、自分が迷い出た羊、失われていた存在であったと認めることのできる人です。そこから見いだされた喜びの歌が生まれるからです。 詩編の119編176節は迷えるもの、失われたものの魂の叫びです。「ああ神様、羊のようにあてどもなくさまよう私を、捜し出してください。」その声を聞いた神は走り出しました。「良い羊飼いは羊のために命を捨てる。」これは十字架という大きな愛に向かって走り出したキリストの言葉です。「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。」 今日は地区の牧師会が持たれます。 今週も大切なことを大切に。