土の器

宮本牧師のブログ

夜逃げ

詩編の中には、ダビデが荒野に逃れていたときに書かれたと思われる詩編(そう表記されている詩編)が多くあります。詩編3、18、34、52、54、56、57、59、63、142編などがそれです。詩編の3編はその最初のものになります。ダビデは人生の荒野で、何を見、何を考え、何を語ったのでしょうか。 1節が見出しになっています。「賛歌。ダビデの詩。ダビデがその子アブサロムを逃れたとき」。これは息子に王位を奪われて追われている状況ということです。その物語が、サムエル記下15-18章に詳しく記されています。アブサロムは父ダビデに対してクーデーターを起こし、4年がかりで人心を自分になびかせ、ダビデの有力な部下まで味方につけて反乱軍を旗揚げし、エルサレムを攻めました。寝耳に水、突然の息子の謀反によって、王宮を追われ夜逃げするダビデは、キデロンの川を裸足で渡って逃げ、オリーブ山の斜面を上りながら顔を覆って泣きました。ダビデに従った僕たちもみな泣きました(サムエル記下15章30節)。 山の向こう側に着くと、サウル家の一族のシムイという男が現れ、ダビデに石を投げ、口汚くののしりました。しかし、ダビデは「主がダビデを呪えとお命じになったのであの男は呪っているのだろうから、『どうしてそんなことをするのか』と誰が言えよう」と言い、「主が私の苦しみをご覧になり、今日の彼の呪いに代えて幸いを返してくださるかもしれない」と従者たちに語りました。ダビデの人生で、これほど絶望的なことはありませんでした。その時に、ダビデが祈り、賛美したのが詩編の3編なのです。 台風一過。名古屋は青空が広がり始めました。 今週も大切なことを大切に。