土の器

宮本牧師のブログ

深みにおける十分さ

「しかし、慰め主〈助言者、助け主、とりなす者、弁護者、激励者、援助者〉、すなわち、父が私の名によって〈私の代わりに、私を代表して、私に代わって働くために〉つかわされる聖霊は、あなたたちにすべての事を教えてくださる。また彼は私があなたたちに語った事をことごとく思い起こさせ〈思い出させ、記憶によみがえらせ〉てくださる。」
「すべてのことを教え」という言葉を、ある聖書注解者は「それは情報の量ではなく、深みにおける十分さのことである」と説明しています。たとえば、新聞の情報には限界があります。書かれている情報の量、言葉だけではわからない、その背後にある意味があって、その深みに導いてくれるのが
聖霊だと言うのです。
宣教師の家庭に生まれ、自身も神学校で学んだことのあるウ
イリアム・ポール・ヤングが子どものためにルーズリーフに書いた物語があります。やがてその物語が自費出版されると、人生を変える本と言うこと口コミで広まり、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストで、70週連続1位を記録しました。それが小説『神の小屋』です。
この物語には神の三位一体が巧みに描写されています。神学的には色々な意見があることは承知していますが、この小説はとてもユニークです。父なる神、子なるイ
エス、そして聖霊、そのことをどう説明すればよいのか。それは教会の課題の一つです。この小説では理論や方程式ではなく、神が人間の痛みにどう向き合ってくださるのかという視点から、そのことを描いています。サスペンスとファンタジーと神学書が一つになったような感動の一冊です。
本の帯には「現代版
ヨブ記」と書かれていますが、この本には、人間の本質的な叫びとそれに対する神からの回答が書かれています。それが、聖霊が「すべてのことを教え」という意味です。なぜあんなことが起こったのか。神はその時、どこで何をしていていたのか、神はそれを止められなかったのか。私たちにもそれぞれの人生でそんなことを感じる時があります。だれもが心の中に、悲しい廃れた山小屋を持っているのです。でも、その小屋でこそ、神が待っていてくださり、私たちの廃れた小屋を神の小屋としてくださるのです。
この歴史における最大の惨事は、カルバリーの十字架です。しかし、そこが神との出会いの現場と変えられました。すべての答えがそこにあります。