土の器

宮本牧師のブログ

アニュス・デイ

ヘンデルメサイアは、キリストの生涯を描いた3部構成の大曲ですが、「ハレルヤコーラス」で終わる第2部の最初の曲が「見よ、神の小羊」という合唱です。ヘンデルはこのフレーズが、イエスの生涯を語る上で、どれほど重要であったかを知っていました。教会音楽として知られるミサ曲でも「神の小羊」というフレーズが重要な位置を占めています。ミサ曲は通常「キリエ(主よ、憐れみたまえ)」で始まる6つの祈りで構成されますが、最後の曲が、平和の賛歌とも呼ばれる「アニュス・デイ(神の小羊)」です。 ここで言われている小羊とは、人の身代わりとして祭壇に捧げられるいけにえのことだからです。聖書を読めば、旧約時代、他の動物もいけにえとして使われていたことがわかりますが、小羊に限定された犠牲に関する聖書の記事が2つあります。ヨハネはそのことを重々承知の上で、イエスのことを「神の小羊」と証ししたのです。 1つは出エジプト記12章に記されている「過越の小羊」です。もう1つはイザヤ53章です。受難のメシアの姿が鮮やかに示された預言の中で、苦難の僕が屠り場に引かれて行く小羊の姿に例えられます。使徒言行録の8章で、伝道者フィリポがエチオピアの高官を信仰に導く場面で、イザヤ書53章が開かれます。「どうぞ教えてください。預言者は、だれについてこう言っているのでしょう」と尋ねるエチオピアの高官に、フィリポはこの箇所から説き起こして、イエスについて福音を告げ知らせました。フィリポが語るイエスの福音を聞いたエチオピアの高官は言いました。「わたしは、イエス・キリストを神の子と信じます。」彼もまた、十字架のもとで刈り取られた愛の実りとなったのです。 4月最初の礼拝は、オープン礼拝です。どなたでも参加していただけますが、事前予約が必要です。電話またはウェブ予約をお願いします。