土の器

宮本牧師のブログ

天まで達する階段

「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい。」イエスは、動揺と混乱の中にいた弟子たちに、そのように語られた後、「あなたがたのために場所を用意しに行く」という言葉で、十字架こそ天国への道であることを語られます。しかし、弟子たちにはそれが理解できません。そこで口を開くのがトマスです。彼は、ペトロが先に尋ねたことをくり返し聞いています。「主よ、どこへ行かれるのか・・・その道を教えてください」と。悲観的な性格であったトマスは、その夜、誰よりも不安だったのでしょう。ただ暗い未来のみが、自分たちを待っているように感じられ、彼は咄嗟に尋ねたのです。 これはヨハネ福音書の特徴ですが、イエスが謎めいた言葉を語られると、その意味を尋ねる合いの手が入り、それにイエスが答えて、深い真理が解き明かされていくのです。ここでもヨハネの得意なパターンで話題が展開していきます。 トマスの咄嗟の問いかけが、思いがけずもイエスの口から偉大な啓示を引き出す結果となったのです。イエスはこの機会をとらえて、ご自身の神性を鮮やかに啓示されました。「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父(神)のもとに行くことはできない。」 ヨハネ福音書の1章に、いちじくの木の下にいたナタナエルという弟子とイエスが出会い、語り合う場面があります。イエスはいちじくの木の下で聖書を学んでいた彼に創世記28章の物語を思い出させます。イスラエル民族の太祖ヤコブが、偽りの生活の果てに家を追われ、荒れ野で石を枕にして寝なければならなかった夜、夢を見たという話しです。彼は「先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりして」いる夢を見ました。夢から覚めたヤコブは感動に震えながら言います。「ここは、なんと畏れ多い場所だろう。これはまさしく神の家である。そうだ、ここは天の門だ」と。 イエスはナタナエルに言われました。「はっきり言っておく。天が開け、神の天使たちが人の子の上に昇り降りするのを、あなたがたは見ることになる。」ここでイエスは創世記の話しを少しだけ変えています。「人の子」という部分です。ヤコブが夢の中で見た天まで達する階段、天国への道とは、「人の子」すなわち、イエス・キリストだったのです。 毎月第1日曜日は、新しい方にも入りやすいオープン礼拝を開催していますが、11月は第2週がオープン礼拝になります。 5日の礼拝は、信徒向けの聖会です。ご了承ください。