土の器

宮本牧師のブログ

柔和な方で、ロバに乗って

イエスはゼカリヤの預言の成就として、ろばの子に乗ってエルサレムに入城されました。イエスの時代、ユダヤの人々はローマ帝国の占領下にあり、自由を奪われ、貧困に喘いでいました。彼らの願いは、白馬にまたがった英雄的な解放者(メシア)が現れることでしたが、イエスはそれとは真逆の姿で来られたのです。

イエスのエルサレム入城の記事は、四福音書すべてに記されていますが、マタイによれば、ゼカリヤ書の引用がもう少し丁寧です。「見よ、あなたの王があなたのところに来る。柔和な方で、ろばに乗って。荷ろばの子である、子ろばに乗って。」私たちの王なるキリストは、ろばの子に乗ってくるほど、穏やかで柔和な王なのです。しかし、ここでマタイが使っている「柔和」という言葉は、「虐げられた(痛めつけられた)」とか、「悩まされた」という意味から来ていると言われています。柔和という言葉の響きからは想像しにくいかも知れませんが、ろばの子に乗られた王とは、これから起こるキリストの受難をすでに暗示しているのであり、私たちのために虐げられ、悩まされる苦難の王のことだったのです。

ろばの子に乗ってこられる私たちの王、柔和な方であるキリストを礼拝しましょう。「まことに彼(キリスト)はわれわれの病を負い、われわれの悲しみを担った。・・・彼はわれわれのとがのために傷つけられ、われわれの不義のために砕かれたのだ。彼はみずから懲らしめを受け、われわれに平安を与え、その打たれた傷によって、われわれはいやされたのだ。」