土の器

宮本牧師のブログ

墓を背にしたラザロと墓に向かうイエス

ラザロの墓が開かれると、イエスは大声で「ラザロよ、出て来なさい」と叫ばれました。イエスの神々しい声が響きました。何が起こったでしょう。「すると、死んでいた人が、手と足を長い布で巻かれたまま出て来た。彼の顔は覆いで包まれていた。イエスは人々に言われた。『ほどいてやって、帰らせなさい』と言われた。」

そうです。死んで四日もたっていたラザロが墓の中から出て来たのです。11章の初めから始まったラザロの死と復活の物語ですが、ヨハネは最後、この1節だけにラザロの復活を簡潔に描きました。ある人は、「手と足を布でまかれたままで、どうして出て来ることができたのか」と突っ込むかも知れません。しかし、そのような疑問や詮索は、ここでは無意味です。

一枚の絵を御覧ください。有名なジオットが描いた「ラザロの蘇生」です。よく見ると鼻を覆う人、布をほどきにかかる人、驚く人、足元にひれ伏すマルタとマリア、それらの群像の中で、イエスとラザロが向き合っています。墓を背にしたラザロと墓に向かうイエス。それはラザロと引き換えに、イエスが墓に葬られることを暗示しているように見えます。あなたはこの絵のどこに自分を見るでしょうか。イエスはご自分のいのちと引き換えに、今日もあなたを死からいのちへと呼び出そうとしておられるのです。

「死は勝利にのみ込まれた。死よ、お前の勝利はどこにあるのか。」イエスは言われました。「まことに、まことに、あなたがたに言います。わたしのことばを聞いて、わたしを遣わされた方を信じる者は、永遠のいのちを持ち、・・・死からいのちに移っています。……死人が神の子の声を聞く時が来ます。今がその時です。それを聞く者は生きます。」「ラザロよ、出て来なさい。」

 

教会暦では次の日曜日から待降節、クリスマスを待ち望むシーズンです。