土の器

宮本牧師のブログ

証言

マタイは、前後の物語につながる二本の糸を巧みに織り込むように復活の話題を展開させて行きます。27章で、イエスの死と埋葬を見届け、最後まで墓の前に座していた二人の婦人が、28章では空になった墓の目撃者となり、復活された主の言葉を伝達する最初の証人となります。また、これはマタイ独特の記事になりますが、先に封印された墓の番をするために配置されたローマ兵が、28章では天使と空になった墓を目撃し、11節以下を見ると、それら一切のことを祭司長や長老たちに報告しています。墓を見張ることは、宗教指導者たちの申し出によることでしたが、結果的に、番兵たちは空になった墓の目撃証言者となったのです。 話題が前後しますが、マタイをはじめとする4人の福音記者たちは、キリストの復活の第一発見者が婦人たちであったと伝えています。それはとても興味深いことです。実はユダヤ人の視点から見ると、その事実がキリストの復活を雄弁に証明していることにさえなるからです。もしイエスの復活が、弟子たちのでっち上げであるなら、婦人たちを第一発見者に仕立てるようなことはしなかったはずだからです。当時のユダヤの法廷では、婦人には証言する権利も能力も認められていませんでした。モーセの律法によれば、ある人を訴えるためには二人または三人の証人の証言が必要とされましたが、その証人は男性でなければならなかったのです。実際に、婦人たちの報告を聞いた弟子たちの反応は最悪でした。ルカによれば、「使徒たちは、この話がたわ言のように思われたので、婦人たちを信じなかった」とあります。ではなぜ、マタイをはじめとする福音記者たちは、口をそろえて、イエスの復活の第一発見者が婦人たちであったと伝えるのでしょうか。それは、それが事実であったからではないでしょうか。あの朝、婦人たちはほんとうに空の墓を見たのです。そして聞いたのです。「恐れることはない。十字架につけられたイエスを捜しているのだろうが、あの方は、ここにはおられない。かねて言われていたとおり、復活なさったのだ」と。 昨日から岡山で宣教センターの集まりが持たれています。 毎回、たくさんの学びが与えられて感謝です。