ある新聞のコラムで、劇作家の平田オリザさんの言葉が紹介されていました。「ディベートは、話す前と後で考えが変わったほうが負け。ダイアローグは、話す前と後で考えが変わっていなければ意味がない。」ディベート（討論）とダイアローグ（対話）の違いについての説明です。聖書に現された神は、私たちに語りかける神です。神は私たちと討論し、私たちを打ち負かそうとしているのではなく、私たちとゆっくり、時間をかけて対話したいと望まれる神です。この語らいの後、私たちはどうなっているのでしょうか。
個人との対話はヨハネの福音書の特徴の一つで、第4章のイエスとサマリアの女との対話は有名です。一杯の水を巡って始まったやり取りは、いつしか目に見えるものから見えないものへと移され、ついに生ける水、さらに礼拝というテーマに移っていくのですが、彼女は気がつくと、ただひとり神の前に立っていることに気づきます。イエスは言われました。「婦人よ、わたしを信じなさい。……あなたと話をしているこのわたしである。」「わたしである」とは、聖書の中で神がご自分を現されるときに名乗られる神の御名であり、これこそ「水を飲ませてください」と言ったものが「だれであるか」の答えにもなっています。
F.B.マイヤーの言葉です。「イエスがお与えになる『生きた水』は人間の霊的な渇きを根源的にいやすことができ、ヨハネの黙示録では『いのちの水』とも呼ばれている。キリストは生きた水を持っておられ、もし求めさえすれば、直ぐに与えてくださるであろう。……神の最上の賜物を受けるには、二つの条件がある。それは、知らなければならないことと、求めなければならないことである。」あなたはもう知っていますか。あなたはもう求めていますか。
