土の器

宮本牧師のブログ

一番短い節

マルタが家に戻り、妹のマリアに耳打ちして、「先生がいらして、あなたをお呼びです」と伝えます。ほんとうは大きな声で伝えればよかったと思うのですが、その頃、すでにイエスが来られたことも、イエスのもとに行くことも、あまり公にはできない緊迫した状況が出来上がっていたことを、ヨハネはそれとなく私たちに伝えます。 イエスが呼んでいると聞き、マリアはすぐにイエスのもとに向かいました。ラザロの姉妹を慰めるために来ていた人々は、彼女がラザロの墓に行くのだろうと思い、ついて行きましたが、マリアはイエスを見つけると、その足もとにひれ伏し、姉のマルタが言ったのと同じことを言いました。「主よ、もしあなたがここにいてくださったら、兄弟は死ななかったでしょうに」と。彼女たちはイエスを信じていましたが、その信仰には限界があったのです。 「イエスは、彼女が泣き、一緒に来たユダヤ人たちも泣いているのを見て、心に憤りを覚え、興奮して、言われた。『どこに葬ったのか。』・・・イエスは涙を流された。」 旧新約聖書66巻は1189章、約31173節から成ります(1189章は「いいやく」、31173節は「3つのいい波」と覚えてください)。聖書の章や節は、もともと付けられたいたのではなく、500年ほど前に便宜上付けられたもので、そこに神学的な意味合いがあるわけではありませんが、よく英語の聖書で最も短い節と言われているのが、この35節です。日本語の聖書ではもっと短い節がありますので、探してみてください。この言葉は、聖書で一番短い節かも知れませんが、聖書の中で神の愛の深さを最もよく表している節でもあります。イエス・キリストは涙を知っておられました。ヨハネ福音書は一貫してイエスが神の子であることを証しする書ですが、イエスが疲れ、渇き、涙する姿を描くことをためらいません。彼はイエスが人となれた神の子であることを大胆に証しするのです。 今週も大切なことを大切に。