御創(みきず)
土曜日の中日春秋から。
「創」とは、不思議な字である。
「つくる、はじめる」との意味を持ちつつ、
「きず」という意味もある。
創造の創も絆創膏の創も同じ創なのだ。
詩人の吉野弘さんは、こう問い掛けた。
創造らしい創造をする精神は、そのいとなみに先立って、
何等かのきずを負っているのではないか。
きずを自らの手で癒そうとすることが創造につながるのではないか。
その好例が、植物の挿し木。
茎や枝を切って、地中にさし込めば、傷口から初々しい根が生えてくる。
このことこそ、きずが創造につながることを示す姿ではないか、
と詩人は書いた。
話しはまだ続くのですが、なるほどと思いました。
間もなく、お待ちかねの十字架の黙想・平成版が届くことになっていますが、
第一日目に聖イグナチオの十字架に向かう祈りという短い祈りが載っています。
「願わくはキリストの魂、われを聖ならしめ、
キリストの体、われを救い、
キリストの血、われに浸透し、
キリストの脇腹より滴りし水、われを清め、
キリストの受難、われを強めんことを。
慈愛深きキリスト、わが願いを聞き入れ、
み傷の中に、われをかくし、
主より離れることを許し給わぬように。」
平成版と言ってもオリジナル版の格調を損なわない程度に、
文語の言い回しが残っていますので、ベテランの方にも、
漢字は普通に読めるようになっていますので、
若い方にも末永く愛していただける一冊となっています。
「み傷の中に」も普通の「傷」に書き換えられたところですが、
オリジナル版は「創」という漢字を使って「御創(みきず)」と読ませていました。
学生の頃から、ずっと気になっていた所ですが、ようやく腑に落ちました。
キリストの十字架の御創に、私たちが接ぎ木されることによって、
キリストの命が私たちを新しく生まれさせ、新創造する、と。
2月13日、今日は岐阜で祈り会です。
今週も大切なことを大切に。