土の器

宮本牧師のブログ

音色

二人が旅を続け、ついにベツレヘムに着いたのはちょうど大麦の刈り入れの始まる季節、春先のことでした。町中が二人のことでどよめいたと書かれていますが、「ナオミさん、おかえりなさい」と声をかける町の人々に、彼女は言いました。「どうか、ナオミ(快い)などと呼ばないで、マラ(苦い)と呼んでください。全能者がわたしをひどい目に遭わせたのです。出て行くときには、満たされていたわたしを、主はうつろにして帰らせたのです」と。 先日、NHKのプロフェッショナルという番組に、バイオリニストの五島みどりさんが出ていました。彼女もクリスチャンなのですが、いろいろ教えられることがありました。彼女は、13歳でデビューし脚光を浴びましたが、20代の頃、一流の音楽家として生きて行くというステイタスに悩み、拒食症と鬱病を発症しました。長期間演奏活動ができない辛い時期を通過しますが、やがてそれを克服し、素直に生きるという彼女の新しい音色が生まれました。彼女は言います。「楽しみも苦しみもすべて音になる」と。 ナオミは大切なものを失い、うつろになってベツレヘムに帰ってきたのですが、それらすべてが主を賛美する音色に帰られていくのがルツ記の物語です。やがてキリストがお生まれになるベツレヘム。そこを舞台として素敵な音を奏でるルツ記に、この待降節は耳を傾けましょう。 待降節の期間は毎週がオープン礼拝になります。教会でクリスマスを過ごしたいと思われた方は、ぜひお出かけください。