あなたの神はわたしの神
ルツ記の始めに、ルツ記の背景となる時代と様子が描かれています。士師が世を治めていた時代と書かれていますが、それはヨシュアに導かれて約束の地に入植してから、王が立てられるまでの非常に混乱した時代でした。士師記の最後の言葉がそれをよく表しています。「そのころ、イスラエルには王がなく、それぞれ自分の目に正しいとすることを行っていた。」
そんな暗い時代に、飢饉が国を襲いました。ユダの片田舎のベツレヘムに住むエリメレクはたまらずに、妻ナオミと二人の息子を連れてモアブに疎開します。ルツ記の物語がここから始まります。モアブの地とは、ヨルダン川東岸にある肥沃な高原地帯を指します。そこに住むモアブ人の先祖はアブラハムの甥のロトでしたが、民数記には、モアブ人の王バラクが、占い師バラムを招いてイスラエルを呪わせようとしたこと、それが失敗すると、モアブ人の娘たちがイスラエルを誘惑し、偶像礼拝に引き込もうとしたことなどが記されています。ですから、そこは豊かに見えましたが、実は危険がいっぱいの場所だったのです。
難の逃れたつもりだった家族に不幸が続きました。夫エリメレクが移住して間もなく死にます。やもめとなったナオミは、帰るに帰れなかったのでしょうか。10年ほどそこで暮らしている間に、二人の息子がモアブの女性を妻としました。その一人がルツです。しかし、ナオミの二人の息子もまたモアブの地で死んでしまいました。5節の「ナオミは・・・一人残された」との言葉が彼女の埋めることのできないほどの喪失感を表しているように思います。そのような中、主がその民を顧みて、今やベツレヘムには食物が満ちているとの便りに動かされ、ナオミは故郷に帰ることにします。嫁たちも同行しましたが、彼女たちの行く末を案じてたナオミは二人に「モアブに帰り幸せになってほしい」と伝えます。嫁たちはナオミと共に行くと言い張りましたが、ナオミに説得され弟嫁のオルパがモアブに帰ります。しかし、ルツはどこまでもナオミと行動することを表明しました。それが有名な16節の言葉です。「わたしは、あなたの行かれる所に行き、お泊まりになる所に泊まります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神。」
今日は高齢の信徒のお宅を訪問させていただきます。