土の器

宮本牧師のブログ

かぜのでんわ

今日の中日春秋から。 やまのうえに 1だいのでんわが おいてありました。だれがおいたのか わかりません。でんわせんは つながっていませんが、いつも ぴかぴかにみがかれています… 絵本作家いもとようこさんの新作『かぜのでんわ』(金の星社)は、不思議な電話をめぐる話だ。兄を亡くした子ダヌキ、坊やに先立たれたウサギの母さん…森の生き物たちは「線のつながっていない電話」を手に、亡き家族に話し掛ける。神さまに電話し「いきること しぬこと」の意味を問う動物もいる。この電話のモデルは、岩手県大槌町の海を望む丘に佐々木格さん(69)がつくった「風の電話」だ。白い木枠の電話ボックスにダイヤル式の黒電話。電話の横に、こんな言葉が記されている。<風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください 風の音が又は浪の音が或いは小鳥のさえずりが 聞こえたなら あなたの想いを伝えて下さい> 震災の年の「開通」以来、多くの人が受話器を手にしてきた。行方不明のままの息子と話すため、通い続ける夫婦もいる。「涙の味のごはんを食べ続けている人が多いのです。最期まで家族を思い続け命を絶たれた人、愛する家族を捜し続ける人。そういう思いをつなげたいのです」と、佐々木さんは言う。 絵本では、鳴らないはずの電話が寒さ厳しいある夜、リーン、リーンと鳴り始める。