土の器

宮本牧師のブログ

2回目のパンの奇跡

マタイによる福音書15章にはイエスによる第2回目のパンの奇跡が記録されています。14章ではガリラヤ伝道のハイライトとして、5千人の給食と言われる第1回目のパンの奇跡を見ました。その後、ファリサイ派や律法学者たちとの対立が激しくなるにおよんで、イエスはしばしイスラエルを離れ、弟子たちと異邦人の町々を旅されるのが15章です。カナンの女と出会ったのは、ティルスとシドンの地方とされていますが、ガリラヤ側の国境から北に30-50キロほどの場所です。たぶん、徒歩で数ヶ月を要する旅であったと思われますが、旅の終わりに、再び「ガリラヤ湖のほとり」に戻ってきたところで、第2回目のパンの奇跡が行われます。 マルコ福音書の平行箇所を見ると、「デカポリスを通り」となっていますので、それはガリラヤ湖の南部ということになります。デカポリスとはギリシャの植民地となっていた町々の総称で、その地域の住民はほとんどが異邦人でした。カナンの女の物語に続き、第2回目のパンの奇跡は異邦人に対する祝福であり、まさに主人の食卓からこぼれ落ちたパン屑の奇跡ということができます。 まず、多くの病人がイエスの足もとに運ばれて来ました。イエスはそれらの人たちを癒されます。人々は「イスラエルの神を賛美した」と書かれていますが、それは、彼らが異邦人であったからです。神なく望みなくさ迷っていた異邦人が、イスラエルの神を賛美できるとは、何という恵みではないでしょうか。 イエスは弟子たちを呼び寄せて言われました。「群衆がかわいそうだ。もう三日も私と一緒にいるのに、食べ物がない。空腹のままで解散させたくはない。」ここからパンの奇跡が始まります。 震災から1年半。被災地の一日も早い復興を祈りつつ、もう一度、今からでも私たちにできることはないかを考えてみたいと思います。