土の器

宮本牧師のブログ

もっと大きな声で

今日は午前中、市内での家庭集会が持たれました。暑い最中に集まってくださるみなさんに感謝です。 さて、ここ数日の「中日春秋」にはいろいろ考えさせられることが多いです。今朝の朝刊から。 ムーミン一家を奇妙な女の子が訪れたのは、小雨が降る日の夕方だった。少女の名はニンニ。けれど、姿は見えない。全身が透明なのだ。ニンニはおばさんに育てられていたが、いじめられるうち姿を失ってしまった。事情が分かり「医者にみせようか」と案じるムーミンパパをママがたしなめる。「きっとこの子は、しばらくのあいだ、見えなくなっていたいと思ったのよ」「そっとしといたほうがいいわ」(『ムーミン谷の仲間たち』講談社) ニンニのようにしばらく姿を消せればいいのに、と思っている子どもたちが、日本中の学校にいるだろう。いじめに追い詰められ、だれにも打ち明けられずに苦しみ、自分を見失っているかもしれない。大津の中学2年生が身を投げ、永遠に姿を消してしまって、9カ月。何が彼を追い込んだのか。調査は進み始めたが、命は戻らない。お父さんの「ここ数日来も自ら命を絶つ子供の報道が耳に入ります。とても悲しい。悔しくてたまりません」という言葉は、子を失った親の叫びだ。 アニメ版では、姿も声も失ったニンニをいじめっ子が穴に閉じ込める。「助けて」という吐息のような声にムーミンが気づき、「もっと大きな声で」と呼び掛け続ける。必死に「助けて」と叫んだ時、ニンニは声を取り戻す。耳を澄ませば、私たちにも、ちいさな叫び声が聞こえはしまいか。