土の器

宮本牧師のブログ

独りじゃないよ

独りじゃないよ。 ここにクリスマスの大切なメッセージがある。 クリスマス、それは「あなたと共にいる」といつも語りかけてくださるインマヌエルの神がこの地上に来られた日なのだから。 聖書のクリスマス・ストーリーを読んでいて、いつも不思議と心惹かれる箇所がある。 「マリアは、三か月ほどエリサベトのところに滞在してから、自分の家に帰った。」 ルカ1の56だ。彼はこの福音書を詳しい取材を通して書いたと冒頭に記しているが、当然マリアにもインタビューをしたにちがいない。キリストの誕生を描いた「マリア」という映画で、受胎告知を受けたマリアの不安げな顔が印象的だった。実際、たくさんの誤解を受け、パッシングの嵐の中を立ち続けなければならなかった。まだ若いマリアにとって、それは苛酷すぎる現実だった。「だれにも信じてもらえない、わかってもらえない。」マリアは自分のうちに収めきれない思いを引きずって、親類のエリサベトを訪ねる。エリサベトは洗礼者ヨハネの母であるが、もう老齢に達していた。妊の女と呼ばれていた彼女もその時、ヨハネを胎に宿していたのだ。エリサベトはマリアを迎え、共に三か月を過ごした。その間に二人がかわした会話はどんなだっただろう。映画では不安を訴えるマリアにエリサベトが寄り添う姿が美しく描かれている。「どうして私なの・・・」と嘆くマリアに「祈りましょう」と語りかけるエリサベト。これがクリスマス物語なのだ。困惑と不信、揺れ動く人の心と心、その最中にキリストは生まれてくださった。それが私たちの生きている世界だから。 「You Are Not Alone」と言えば、マイケル・ジャクソンのヒットナンバーを思い出す人もいるかも知れないが、今年のクリスマスは神様からのそんな愛の歌を聞いてほしい。そして、あなたも孤独の中で泣いている誰かの隣に座ってあげてほしい。それがクリスマスなのだから。