土の器

宮本牧師のブログ

一番小さな奇跡

ガリラヤ湖で漁師をしていたペトロは家には妻の母親も同居していました。聖書はペトロの姑について多くを語りませんが、「ペトロの姑」と言えば、初代教会のだれもが知っているような存在であったのでしょう。イエスがペトロの家に入ると、その姑が熱病で苦しみ、寝込んでいました。イエスが彼女の枕元に立ち、その手に触れられると、熱は去り、彼女はすぐに立ち上がってイエスとその一行をもてなしました。イエスの奇跡の中で一番小さな奇跡とも呼ばれる出来事です。この奇跡が波紋を呼びました。「夕方になると、人々は悪霊に取りつかれた者を大勢連れて来た。」医者であったルカは、もう少し幅をもたせた表現にしています。「日が暮れると、いろいろな病気で苦しむ者を抱えている人が皆、病人をイエスのもとに連れて来た」と。 マタイは、「イエスは言葉で悪霊を追い出し、病人を皆いやされた」と、イエスの言葉の権威とその癒された数に注目しましたが、医者であったルカはイエスの行為に注目しています。「イエスはその一人一人に手を置いていやさたれた」。文語訳聖書ではこう訳されていました。「日のいる時さまざまの病を患う者をもつ人、みなこれをイエスに連れ来たれば、一々その上に手を置きて癒し給う。」その夜、いろいろな病気で苦しむ者たちが行列を作りました。一人一人、病気も症状も異なります。背負っているものもその痛みもちがいます。そんな一人一人を十把一絡げにするのではなく、イエスは一人一人に手を置いて祈られました。まるで一つ一つの問題に耳を傾け、手を置いて祈ってくださったかのような描写です。 今週も大切なことを大切に。