土の器

宮本牧師のブログ

氷をとかすドラマ

旧約聖書、雅歌2章10節以下を新改訳聖書で紹介します。 2:10 私の愛する方は、私に語りかけて言われます。 「わが愛する者、美しいひとよ。さあ、立って、出ておいで。 2:11 ほら、冬は過ぎ去り、大雨も通り過ぎて行った。 2:12 地には花が咲き乱れ、歌の季節がやって来た。 聖イエス会讃美歌152番「見よ冬過ぎ去り」はこの御言葉を歌っています。冬が過ぎ、春が来るように、歌の季節がやって来るというのは、今年の標語、詩編126編にも通じるテーマだと思います。涙の種蒔きに続く、喜びの歌と収穫。厳しい冬の寒さに続く、百花繚乱の歌の季節。新共同訳の「小鳥の歌うたうとき」というのも良い訳です。 さて、歴史上最も多くの人に見られた映画の一つは、あの「Sound of Music」だそうです。ジュリー・アンドリュースが演じる実在の修道女とトラップ一家との愛を描いたこの不朽の名作ですが、この映画について徹底解説した書物に、長く愛される映画(ストーリー)には一つの法則があるということが書かれていて興味深く読みました。その法則とは「氷をとかすドラマ」ということです。 大ヒットしたディズニーの「アナと雪の女王」は、まさに真実な愛によって氷がとける物語です。日本にゴスペルブームを呼んだ「天使にラブソングを」もそうです。「Sound of Music」も氷のような心のトラップ大佐とその厳しい規律に縛られていた子どもたちの心を、修道女マリアが歌の力によって、その氷をとかしていく物語です。 では、どうしてこのようなストーリーが愛されるのでしょうか。それはきっと、だれもがとかしてほしい何かを持っているからではないでしょうか。 雅歌の花嫁も、閉ざされた心を持っていましたが、彼女を愛する花婿は、彼女の愛を呼び覚まそうと、「山々を飛び越え、丘々の上をはねて」、かもしかや若い鹿のように、彼女のところにやって来ました。そして語りかけるのです。「わが愛する者、美しいひとよ。さあ、立って、出ておいで。ほら、冬は過ぎ去り、大雨も通り過ぎて行った。地には花が咲き乱れ、歌の季節がやって来た」と。氷をとかすドラマ、これこそ福音の神髄です。 今週も大切なことを大切に。