土の器

宮本牧師のブログ

ふさわしい助け手

「別の弁護者」をギリシア語では「アロス・パラクレートス」と言います。「アロス」という言葉について、別は別でも同質のものというと意味があると説明をしましたが、「パラクレートス」という言葉について少し解説しておきたいと思います。この言葉は二つの言葉から出来ています。「パラ」は傍らに、側に、近くに(内側に)という意味です。「クレートス(カレオー)」とは呼ぶという意味から、もう少し積極的に訳せば呼び覚ますと言っても良いかも知れません。 ところで、みなさんは創世記でどのようにアダムとエバが造られたかを覚えているでしょうか。創世記の1章、2章にそのことが書かれています。1章の26節、「神は言われた。『我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。』」神は唯一なのに、「我々」とはどういうことでしょう。これは三位一体なる神の「内なる語らい」です。三位一体の神が、相談して、熟慮して、神にかたどって人を創造されたというのは驚きです。そして2章にはこう書かれています。まず18節、「主なる神は言われた。『人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者(彼にふさわしい助け手)を造ろう。』」さらに21節、「主なる神はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばらの骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。」エバの誕生です。 聖書注解者マシュー・ヘンリーは次のように解説しています。「神様は、女を男の頭から造らず、男の足からも造らず、男のサイド(横)であるあばら骨から女を創造されました。よって女性は男性の上に立つわけでも、下に立つわけでもなく、男性の横に立つもの、平等な存在として造られた」と。 天地創造の業、一つ一つを「神はこれを見て、良しとされた」と書かれていますが、一つだけ「良くない」と言われたことがありました。それは人が独りでいることです。そこで彼にふさわしい助け手が与えられました。これは結婚の制度の起源ではありますが、この言葉を下敷きにして、ヨハネ福音書14章のイエスの言葉を理解するなら、助け主である聖霊の派遣の原型と言えるかも知れません。興味深いのは、ここで使われている「あばら骨」という言葉です。ヘブライ語では「ツェラア」と言いますが、その意味は「横、傍ら、側」ということで、ギリシア語の「パラ」と同じような意味になります。聖霊なる神は、あなたの側に呼ばれた、あなたにふさわしい助け手、あばら骨のように、あなたの鼓動を感じ、あなたの心が感じられるほどの近さで、あなたを助けてくださるお方なのです。「聖霊、来てください」と祈りましょう。