土の器

宮本牧師のブログ

彼は笑う

正月3日の中日春秋に、犬笑うと言われる戌年の話題から、笑いについて書かれていました。笑いにはストレス軽減や免疫力向上という効用があることは広く知られていますが、作家の井上ひさしさんの言葉が紹介されていました。「人はもともと悲しみを持って生まれ落ちる。でもその内側に笑いは備わっていない。だから自分の手で作り出し、分け合い、持ち合うしかありません。」だから努めて笑いを作り出そうと言う話しです。 ところで、今月は創世記からアブラハムの物語を学んでいますが、18章には、ついに約束のひとり子イサクが誕生が予告される場面です。実際は21章でイサクが誕生するのですが、アブラハムの妻サラは、イサクの誕生の予告を聞いて、笑います。自分たちの年齢を考えれば、望み得ないことだったからです。しかし、約束どおり、1年後イサクが誕生します。イサクとは「彼は笑う」という意味です。今年、自分で努めて笑いをつくるのもいいですが、神様が私たちを笑わせてくださるような一年にしていただきたいものです。サラはこう言いました。「神はわたしに笑いをお与えになった。聞く者は皆、わたしと笑いを共にしてくれるでしょう。」 そんな笑うことのできない状況を変えてくださったのが、17章でアブラハムの前に現れた全能の神です。アブラハム99歳の時のことです。ハランの地で神の声を聞き、行く先も知らずに旅に出たのが75歳の時、約束の地カナンに移り住んで10年経過し、女奴隷ハガルをによってイシュマエルが誕生した時には86歳になっていました。それからイシュマエルが成人するまでの13年間、神は沈黙されました。人生において、神を見失い、見出せなくなることが実際にありますが、13年は余りにも長いと思います。未だ神の約束は一つとして実現されていません。普通なら、この間に、アブラハムの物語が終わっても仕方がありません。それでもアブラハムの物語が続くということは、彼が神の約束を待ち続けていたということではないでしょうか。彼が待って待って、待ちくたびれるほど待った果てに、ついに17章で、神が13年の沈黙を破って、再び語り始められたのです。 「アブラムが99歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。『わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。』」 今週も大切なことを大切に。