土の器

宮本牧師のブログ

ひとりの赤子が

今から百年ほど前にアメリカの西部、ローリングキャンプで起こった実話です。 ローリングキャンプの炭鉱で働く数百人の男たちは、前科者や荒くれ者ばかりでした。毎日酒ばかり飲み、ギャンブルをし、傷害事件も日常茶飯事の争いの絶えない場所でした。そんな炭鉱で働いていた一人の女性が男の子を生み、そのまま亡くなってしまいます。男たちは、その赤子を死なせる訳にはいかないので、何とか協力して育てようとしました。そこでとりあえず、赤子を炭鉱で使うトロッコに入れましたが、そんな真っ黒で汚い箱に赤子をいつまでも入れて置くわけにはいかず、ゆりかごを買うために、炭鉱から150?も離れた隣町まで何人かの男たちを買いに行かせました。そして、買って来たゆりかごに赤子を寝かせてみると、今度はその赤子を包んでいる毛布が汚いという者があり、毛布ときれいな布を買いに行かせました。そしてその赤子を、きれいな毛布に包んで、ゆりかごの中に寝かせてみました。すると今度は、ゆりかごはきれいだけど、ゆりかごを置いている床が汚いと言い出す者があり、男たちは床にカンナかけ、床を磨きました。するとまた別の男が、床はきれいになったけれど、天井も壁も窓も汚いと言い出し、男たちは総掛かりで、天井も壁も窓もきれいにしました。部屋だけではありません。赤子を順番に抱きかかえる男たちは、自分の体や着ている服も汚いことに気付き、皆が体を洗い、ひげを剃り、服を洗濯するようになりました。 あの日、地獄のようなローリングキャンプに、ひとりの赤子が生まれて以来、その小さい存在は、キャンプの内も外も、そこの住む人の心の中さえも、まるで天国のように変えて行ったといったという話しです。 この小さな幼子こそ、罪に汚れた私たちの世界にお生まれになった神の御子イエス・キリストです。今日、神の御子が、あなたの心にも来てくださるなら、キリストは、あなたの心もあなたの明日も永遠も変えてくださいます。 「ひとりのみどりごが、わたしたちのために生まれた。ひとりの男の子が、わたしたちに与えられた。」 待降節に入っています。今年のクリスマスはぜひ教会でお過ごしください。