土の器

宮本牧師のブログ

安らぎ

ある絵描きが「安らぎ」とい絵を描きました。山中の静かな湖の絵です。人里離れた山の中、波一つない湖面はまるで鏡のように周囲の山々を映しています。しかし絵描きは、もう一枚の絵を描くことにしました。確かにそれは「安らぎ」というタイトルにふさわしい情景でしたが、やがて風が吹き、波が立てば、その安らぎははかなくも消え去っていくように思えたからです。そこで新しくカンバスに、今度は滝が勢いよく流れ落ちている絵を描きました。薄暗い空の向こうには稲光が走っています。いったいこの絵のどこに安らぎがあるのでしょう。よく見ると岩肌に小鳥の巣があります。そして、親鳥の翼の下から雛たちが顔をのぞかせているではありませんか。彼はその翼の下に、ほんとうの安らぎを描いたのです。 私たちが求めている「安らぎ」はどうでしょうか。それは何事も起こらないこと、試練の嵐にあわず、混乱の波が立たないことでしょうか。しかしそれは山中の湖のように状況が変われば一転します。嵐に弱いのです。ところが、聖書が私たちに教えてくれる平安はそれとは違います。不安の中の平安、問題の嵐のただ中にある平安なのです。