土の器

宮本牧師のブログ

招待状

マタイによる福音書の22章に進みます。イエスエルサレム入城から2日後、ニサンの月の12日、火曜日の出来事が続きます。神殿の境内における、ユダヤの宗教指導者たちとの「権威」についての問答から始まった三つ目の譬え話になりますが、これらの譬え話は、どれもイスラエルがメシアであるイエスを拒否することによって、福音が異邦人に向けられていくというのが共通のテーマです。今回の譬えでは、王が神、王子がイエス・キリスト、婚宴の披露宴が神の国、そして最初に招待された客が神の選民イスラエル、後で招待された寄せ集めの客が教会ということになります。短い譬え話ですが、三幕からなる寸劇のように読んでみるとわかりやすいです。 まず第一幕です。ある王が王子のために婚宴を催しました。王は家来を送り、婚宴に招待していた人々を呼ばせます。 当時の習慣では、披露宴の招待状が届いても、日時は定められておらず、披露宴の準備ができ次第、家来が招待客を呼びに行くことになっていました。同じように、神は時が満ちて、独り子を世に遣わすまで、旧約聖書を通して、イスラエルの人々に救い主が来るという約束を与えておられましたが、その時は定かではありませんでした。それでも彼らは神から招待された選民であり、救い主の到来は突然起こった出来事ではなかったのです。それにもかかわらず、約束のメシアとしてイエスが来られると、ある人は無視し、ある人は反発し、ある人はイエスを十字架にまで追いやってしまいます。ヨハネの言葉は的確です。「キリストは、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。」頑なな彼らの態度は、7節にある通り、やがて自らの上に滅びを招くことになりました。