土の器

宮本牧師のブログ

愛の特徴

エスが語られた「山上の説教」を描くのに、5章の始めに、イエスが群衆を見て山に登り、そこで教え始められたと伝えたマタイは、山上での説教が終わると、「イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った」と8章の始めに記し、物語の舞台を大きく転換させます。山上で語られた神の国の福音を、画に描いた餅で終わらせないために、それを語られただけではなく、それをこの地上にもたらすために、イエスは地上に下りて来られたのです。愛の特徴は、愛する者を高め、自分と同じレベル、同じ姿に変えるまでは、決して満足できないということです。ここに福音があります。 イエスが山を下りられると、「一人の重い皮膚病を患っている人」がそこに登場してきます。文語訳聖書では、「視よ、一人のらい病人みもとに来たり」と劇的に訳しているところですが、マタイは何か特別な思いで、この人物に注目するように、私たちを促しているように感じます。それは、この病人が「山上の説教」で語られた神の国のイメージとはあまりにもかけ離れてた存在であり、神の恵みから漏れていると思われていた「異邦人のガリラヤ」を代表するような存在であったからではないでしょうか。山上の説教に続くガリラヤでの一連の奇跡物語は、ここから始まるのです。