土の器

宮本牧師のブログ

大工の家に

聖家族はヘロデの死後、エジプトを出てイスラエルに戻り、ヨセフとマリアの故郷であるガリラヤ地方の寒村ナザレで生活を始めます。聖地に行かれたことのある方は、ナザレを訪問されたと思いますが、そこには受胎告知教会という大きな教会があり、その地下にはマリアがお告げを受けたという場所があります。そして、その教会の隣にあるのが聖ヨセフの教会であり、そこに聖家族が住んでいたと言われています。そこはまた大工であったヨセフの仕事場でもあり、その貧しい生活が偲ばれる場所です。この教会の中には無名の画家の手による一枚の絵が掛けられています。ヨセフから大工仕事を教わるイエスとそれを見守るマリア。美しい聖家族の絵です。 聖書は、イエスの少年時代、そしてナザレでの生活について、多くを語りません。ルカはただナザレに下って「両親に仕えてお暮らしになった」と神の子が人に仕えたと言う驚きを言葉少なに伝え、マタイは「彼はナザレの人と呼ばれる」との預言者たちの言葉が成就したとだけ証しています。 ナザレでの30年に及ぶ隠れた生活。その多くの時間をイエスはこの仕事場で過ごしたにちがいありません。仕事場で、額に汗を流し、石や丸太を担いで働くイエスの姿を想像できるでしょうか。イエスは決して色白の宗教家ではありませんでした。毎日、黙々と石や丸太を担ぎ運ぶ肉体派だったのです。その姿はやがて十字架を背負ってカルバリ山に登る訓練をしておられたように見えるほどです。 ♪「馬ぶねの中に産声あげ、木工の家に人となりて、貧しき憂い生くる悩み、つぶさになめしこの人を見よ。」 歌レーナ・マリア