土の器

宮本牧師のブログ

あなたの香りを放つことができますように

元旦礼拝で紹介した渡辺和子先生の『どんな時でも人は笑顔になれる』から。

「雰囲気というものは、目に見えないけれど、体全体で感じるものです。……雰囲気というのは、目に見えない人の心がかもし出すものと言えましょう。一人ひとり、その人独自の雰囲気を持っていて、それは多くの場合、その人の価値観や生活態度から生まれて来るもののようです。

ヘンリー・ニューマンという英国の枢機卿が作った祈りの一つに、「神の愛の輝き」というのがあります。その中でニューマンは、「主よ、私がどこにいても、あなたの香りを放つことができるように、私をお助けください」と祈っています。キリストが持っていたであろう香りとは、他でもないキリストの雰囲気で、それを静かに、しかも馥郁と放つことができる人になれたら、どんなに良いことでしょう。人を包み込むような愛と赦しの雰囲気があるところには、平和があります。

マザー・テレサは、このニューマンの祈りを毎日唱えていました。以前、マザーをカルカッタ(現在のコルカタ)に訪ね、一緒にミサにあずかっていた時のことです。喧噪の街中にあり、通りに面して開け放たれた窓からは騒音が絶え間なく入るチャペルでしたが、壁を背に、合掌して祈るマザーの周囲には冒しがたい静寂がありました。それは身も心もすべてを神に捧げ、人並み以上のきびしい修道生活を送りながら、その愛とほほ笑みを人々に、特に貧しい人々に惜しみなく与えているマザーの体全体がかもし出している雰囲気でした。そこにキリストの香りが馥郁として漂っていたことを、今もなつかしく思い出します。」

私たちは常日頃、どのような雰囲気(空気)をかもし出しているでしょうか。今年、ニューマンの祈りが私たち一人ひとりの祈りとなりますように。「主よ、私がどこにいても、あなたの香りを放つことができるように、私をお助けください。」「我はシャロンの野花、谷のゆりなり。」