土の器

宮本牧師のブログ

シャロンに住む人々は

新約聖書の「使徒の働き」は、初代教会の歴史であり、キリストの十字架と復活、昇天の後に、キリストの福音が世界に広げられていく様子が描かれています。9章と10章はとても大切な所です。9章の前半にはパウロの回心が、10章には異邦人コルネリウスとその家族の救いが記録されています。その狭間にあって9章の後半は、あまり注目されない箇所ですが大切なことを発見しました。

使徒ペテロがリダという町で、中風のため、8年間も床についていたアイネアという人物を癒やしました。その結果、35節を見ると「リダとシャロンに住む人々はみなアイネアを見て、主に立ち返った」とあります。新約聖書では「シャロン」という地名がここにだけ出てきます。シャロンとは、もともと「平原」という意味で、地中海沿岸の町ヤッファから、カルメル山まで南北50キロ、東西20キロほどの平原地帯を指しています。そこにどれくらいの町があったかわかりませんが、アイネアが元気に歩き回っている姿を見て、大勢の人が主に立ち返ったと言うのです。

アイネアもリダに住む聖徒たちの一人だったようですが、中風のために、長い間床についていました。彼は人の世話にならなければ、生きていくことができませんでした。やさしい家族や親切な人たちに囲まれていたかもしれませんが、それでも時々みじめな思いになったにちがいありません。生きていることの目的がわからなくなり、何もかもがいやになることもあったでしょう。

そこに聖霊に満たされたペテロがやって来て言いました。「アイネア、イエス・キリストがあなたを癒してくださいます。立ち上がりなさい。そして自分で床を整えなさい。」ずっと寝たきりで、床を上げるという当たり前のことができなかった彼に、まず床を上げるという当たり前のことから始めましょうと言われたのです。すると、彼はただちに立ち上がりました。リダとシャロンに住む人々はみなこのアイネアの姿を見て、主に立ち返ったのです。アイネアこそ、シャロンの野に咲く一輪の花です。

体は起きていても気持ちがついて行かない、立ち上がれない、前に進めないことがあります。そうであるなら、あなたもアイネアです。今日、イエス・キリストがあなたを癒してくださいます。立ち上がりなさい。そして、あなたもシャロンの野に咲く花のように、置かれた場所で咲きなさい。